【本】ルールを変える思考法
せんたくです。
先日ホリエモンの本を読んだので、IT系ビジネスのリーダー的存在で次に思い付いたのがニコニコ動画の川上量生氏です。
仕事でITを扱ってるわけじゃないんですが、新しい価値観を持っている人が多いので気になって読んでしまいます。
今回も入門書的な軽めの本を手に取りました。
- 作者: 川上量生
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 中経出版
- 発売日: 2013/10/10
- メディア: Kindle版
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どうやら過去のゲーム系連載記事を再編集して出された本のようで、「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき」が元のようです。
- 作者: 4Gamer.net編集部,川上量生
- 出版社/メーカー: ブックウォーカー
- 発売日: 2015/05/21
- メディア: Kindle版
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この本はゲームに限らず、コンテンツ、ゲーム、ネットワーク、ビジネスについての考えを述べた本です。
ネットゲームのことをよく知らない人(私も)でも読みやすかったです。
現実世界というゲームで勝つ方法
ゲーム系連載記事からということで、ビジネスを立ち上げるときの考え方もゲームを例えにして書かれていて分かりやすかったです。
現実社会で直面するゲームはひとつだけではありません。
複数のゲームが有機的に絡み合いながら進行してきます。そして、その一つひとつが10手先を読めるようなものではなく、それぞれに多くの不確定要素を抱えているのです。
ゲーマーにとって難しく複雑なゲーム、それが現実世界のビジネスで、だから面白いと。
テレビゲームはルールを変えられないけど、ビジネスはルールを変えられるゲームだ。この考えがタイトルにもなっています。
ビジネスを起こすときには、出資を募ろうと躍起になって、いつの間にか儲けるという手段が目的になりがち(手段の目的化)です。
これについて、著者は複雑なゲームが同時進行していることに気付くことが大切だと言っています。
だから、起業というものを考えるときには、「お金を出してもらうゲーム」と「ひとつの事業を成功させるゲーム」という別々のゲームを同時に実行しているんだという視点が必要になります。
ニコニコ動画ができるまで
ではどういったビジネスが上手くいったか?
事例としてニコニコ動画が挙げられていて、ヒットのヒント(哲学)が面白かったです。
彼独自の視点なのですが、最近のヒットを色々考えるととても重要なことをとらえている考えだと思いまして。
独自性を保つ上では、明快で他社が追随しやすい差別化を行うよりも、何が差別化なのか、ちょっと考えただけでは理解できないものであり続けることが大切だというのが僕の考えです。
ふと思い返せば...。
iPhone発売のとき、アプリが何かよく分からなかったけど欲しいと思ったし、
ヱヴァンゲリヲンは使徒の説明あまりなかったけど社会現象になったアニメで今も熱狂的なファンが多いし、
「君の名は。」は、内容薄くて作品性がないとか評論家に言われても爆発的にヒットしたし。
明快じゃない部分が人の心を惹き付けた例はたくさんあった気がします。
それが「感性」と「コンテンツ」の面白さですね。
川上量生が考えるとネットワークの今後
Googleの検索順位で支配された世界、
利益優先で無駄を無くそうとする画一化する企業戦略、
ネットワークに誰でもアクセスできるようになり、自分で考えることをやめてまとめサイトに頼る「ネットワークのパーツ」になりつつある人。
彼は起こりつつあるそんな状態を「人類が滅亡するにも近い状態」と考えています。アルゴリズムに支配されると。
最近は、何かを検索するとキュレーションサイトがたくさん引っかかって、自分で選ぶこともしなくてもまとめたものを見れば何とかなる便利な世の中になりました。
でも、それでは自分で考える力が無くなって、自分の選択肢が検索アルゴリズムに依存しているとも言えます。
良くも悪くも起きる大きな変化。
そんな変化に強いのは、いつも「変化の前後を体験して、自分で考えて行動する人」。
アナログかデジタルかということに限らず、どんなジャンル、どんな業界においても、両方の世界を知っている端境期の世代が最も有利で強い。僕はそう考えています。
今回の引用は本の一部です。
世代とバックグラウンドが違えば、今回紹介していない言葉に響くものがあると思います。
言葉は違いますが、堀江貴文氏と同じネットワーク黎明期を生きてきたからなのか、共通した視点も多かったです。「自分で考えろ、支配されるな。」と。
文字数は少ないのに、深い。
ネットワークやコンテンツビジネスを作ってきた著者と、コンテンツの今後を考えさせられる本でした。