【本】ジブリの仲間たち
ジブリ大好きせんたくです。
この前「ジブリの大博覧会~ナウシカからマーニーまで~」に行った時に、過去作品の広告や鈴木敏夫プロデューサーの書斎再現をみてとても満足したのでした。
sentakubiyori.hatenablog.com
その展覧会の企画を考えているときに、鈴木さんが今までを振り返った本がこちら。
- 作者: 鈴木敏夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/06/16
- メディア: 新書
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ジブリと同じくらい、長い間ジブリをプロデューサーとして支えてきた鈴木さんという存在に前から興味があったので、読んでみました。
ジブリ専属プロデューサーになるまで
鈴木さんはもともとアニメージュを担当してた出版社の出身で、風の谷のナウシカをきっかけにジブリのプロデューサーになっていきました。
ジブリはアニメーション制作会社のなかでも
・制作するアニメは劇場のみでテレビアニメは作らない
・社員は正社員
という特異な会社です。
本書を読めば映画の作り手のことを考えた結果としてこうなったことが分かります。
テレビはスポンサーにお金を出してもらっているがゆえに、番組内容について干渉を受けます。…
それに対して、映画の場合はお客さんが入らなければ赤字になるというリスクはあるものの、製作者が自分たちの好きなものを作れるという自由がある。
それでもいい映画を作るためには、テレビや新聞で映画の内容を宣伝し、スポンサー企業から理解を得なければいけない。
監督の作品と一体化したプロデュースをすることの難しさが良く伝わりました。
ジブリのヒットの裏側
私たちが映画がヒットしたかどうかはテレビのニュースで出てきた興業収入で判断したりしますが、映画関係者は予想にくらべどれくらい上回りそうかで判断します。
要するに私たちがああこれはコケたなぁと思ってる映画が、映画プロ側から見ると「予想動員数に比べ意外とヒットした」なんていう認識の違いがあるわけです。それが読んでいて面白かった。
「全部もののけ姫みたいに興業収入増やせば成功じゃないか」と素人なら考えちゃいますがそれについても言及されていて。
ヒットが続くと、会社や周囲からのプレッシャーが高くなって、作る人間も数字を追いかけるようになります。そうすると現場は萎縮してしまう。自由を取り戻すためには、どこかで数字をリセットしなきゃいけない。
ヒットが続くと今度は数字を狙って冒険できなくなる、それくらいならあえて小さいものを作って初心を取り戻す。
なかなかしようと思っても実行できないことです。そこでやってのけるのがジブリであり、鈴木さんである。
この言葉を考えていると、派手なヒットはしなかったけど良かったジブリ作品を見返したくなります。
(は...。鈴木さんのマーケティングの罠に引っ掛かってるだけなんじゃあ...!笑)
映画を取り巻く時代の変化
人が映画を見るきっかけ、映画のテーマの変遷、YouTubeなどソーシャル時代がきてからの映画の立ち位置など細かく分析されています。
プロデューサーの仕事というのは探偵業と同じなんだ。その作家が何をしようとしているのかを探る。一方で、現代というのはどういう時代なのかを探る。それをもとにどう宣伝するかを考えなきゃいけない。映画というのはストーリーを売るんじゃない。哲学を売るんだ。
ものづくりは、ものを作るんではなく、なぜ今売るのか、何を感じてほしいのか、というものの背景にある哲学を売っている。
ヒットの話と共通して、ものを作ることの将来を本当にジブリは考えているのだなぁと感心しました。
まとめ
ジブリファンなら各映画のエピソードと裏話を知られるだけで楽しい本です。
マーケティングとは何か、プロデューサーとは何かの入り口としても、軽く読める本です。
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