【本】偶然の科学
せんたくです。
この前読んだ本で、考えたことは一晩寝かした方が新しいことが思いつきやすい、的なことが書いてまして。
sentakubiyori.hatenablog.com
確かにふとしたときに「私がしたかったのはこれだ!」ていう瞬間ありますよね。
「偶然思い付く」ってなんだろう?が知りたくなりました。
ということでアマゾンで「偶然」見つけた本がこちら。笑
偶然の科学 (ハヤカワ文庫 NF 400 〈数理を愉しむ〉シリーズ)
- 作者: ダンカンワッツ,Duncan Watts,青木創
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/01/10
- メディア: 文庫
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常識と直観って何だっけ?
世の中には、数々のことが意識・無意識関係なく常識として定着しています。例えば、
・給料を上げれば社員の仕事の質は上がる
・ハリーポッターは面白いから大ヒットした
・カリスマブロガーに取り上げてもらうと売れる
など。
よくニュースで取り上げられるような事柄です。
この本は
・給料を上げたら直観どおり仕事の質上がるの?
・ハリーポッターはなぜヒットしたか?
・カリスマブロガーのような人は本当にいるのか?
を偶然という視点から謎をといていく社会科学の本です。
「きっとこうだろう」の間違い
給料を上げたらどうなるかを検証したところ、仕事の量は増えたが仕事の質は上がらなかったという結果が得られたそうです。
さらに、給料に関係する仕事の種類だけするようになったり、他人の成果に便乗してむしろ悪くなる結果も。人間の行動は人間が思うよりも複雑...。
もうひとつの例えで言うと、最近大きな交通事故が報道されています。「自分に限ってそんな危険運転はしないし大丈夫だろう」と思うところですが...。
アメリカの心理学実験では、全員に「自分は平均よりも運転がうまいと思うか?」と調査したところ、90%の人が「はい」と答えたという結果に。
思い込みと偶然が重なると、自分に起こると思っていなかったことが起きうるということです。
ヒットの理由を語るのは自由だけど
私もポケモンGOがなぜヒットしたのか考えたことがありました。
けれど結局、ポケモン世代の人以外の老若男女がハマった理由はしっくりこないです。でも楽しいからいいや!
私はこの投げやり感で大丈夫なのですが、企業のマーケティングの人や企画の人は、ヒットさせることが自分の成果になる仕事なので大変ですよね。
残念ながら、結局何が当たるかはやってみないと誰にも分からないのです。
この本にも、ハリーポッターなどを例にして、ヒットは予測できないことが書かれています。
ハリー・ポッターがヒットしたのは、魔法学校で愉快な仲間たちと出合い成長していく話が面白いからで、売れる要素がいっぱいあったからだ。
でも売れる要素はハリー・ポッターがヒットしないと分からなかったヒットの基準。
ニュースで「社会にそれを受け入れる下地ができた」とよく書かれるけど、下地ができたと分かるのはその何かが起こったとき。
ヒットの理由を結果から後付けするのは人が物語やドラマが好きだからで、どうしても何か理由があるんじゃないか、すごいキーパーソンがいるんじゃないかと思ってしまうのだそうです。
実際はタイミングと状況の偶然の仕業だとしても。
すなわち、われわれは実際に起こったことを必然としてとらえる傾向があるのだ。
ソーシャルネットワーク時代で分かってくること
SNSで人とのつながりが見えてくることで、今まで目に見えていなかった社会のつながりが分かってきました。
リツイート回数が爆発的に増えることにも、筆者は実験しているのですが、実際はカリスマ的に情報を拡散して他の人に影響を与える人がもたらすインパクトは、思ったより小さいそうです。
確かに、ブログで紹介された物をポチってしまう人はいます。
でも、ポチった人が、前から欲しかったものを検索したらたまたまそのブログにたどり着いた人だったら、結局いずれは買う人だったわけで。
感想
社会科学の実験が統計学とインターネットの発展でようやく見えるようになって来ました。
統計を使った社会学・経済学の本は読むたびに新しい発見があります。
それは前に読んだ本でも感じたことです。
本の最後は
さあ、革命をはじめるとしよう...
で終わっていました。(かっこいい)
革命、待ってます!